9月17日 (月)
「デデマン デデマン」車掌に起こされた。バスに乗る時、デデマンで
下ろすように頼んであった。朝5時はまだ暗い。ホテルらしい建物はない。
はて どうしたものか?夜明けは寒い。セーターの上にヤッケを着ても寒い。
暗がりを足音がする。一人の青年だ。"Hello! I'm a Jew." 先ず名のった。
イスラムではないよ、ということか。こちらも"Hello! We are Japanese."
すぐ聞いた。「ここはどこですか」。「ギョレメです。ホテル デデマンは
ネヴシェヒルとギョレメの境にあります。通り過ぎました」。電話ボックスに
案内してホテルに電話し車を廻してくれるように、頼んでくれた。
お礼にそのテレフォンカードを差し上げようとした。「これは旅に必要です」
と押し戻し、右手を胸にお辞儀して暗がりを去っていった。
白々と夜が明けるころ車が来た。20分ほど走ったか。道路の左側、「デデマン」と
ネオンが輝いている。豪華ホテルだ。
路線バスの車掌が知らない訳はない。故意か、寝過ごしたか。(中略)
仮眠をして、フロントに午後のツアーを訊いた。ガイド ドライバー付き12000円。
先ずウチヒサルへ。ウチヒサルは「尖った塔」という意味で、遠目にもわかる大きな一枚岩だ。その奇岩を中心に、村が
出来て、奇岩がそのまま住居になっている。当時の人々は奇岩の上部に鳩を飼って、糞を肥料に、農作物を作り葡萄を栽培した。
ウチヒサルからギョレメに出る右側一帯がギョレメパノラマ。カッパドキアは広大な溶岩台地だ。エルジエス山が噴火して
火山灰と溶岩が交互に積み重なり、柔らかい部分は浸食され、硬い部分が残って奇岩群となったとガイドが話してくれた。
大小全ての岩はとんがり帽子を被り、ところどころ穴が開いているのが、人間の表情に似て面白い。これが見晴るかす限り、
続いているのだから、まさに絶景だ。
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